3Dプリンター用フィラメントの選び方|PLA、TPU、ABS、PETGを徹底比較
3Dプリンター用フィラメントとは?
3Dプリンターの材料となる細長いプラスチック素材です。
多くの場合、直径1~3mmの糸状で、リールに巻かれています。プリンター内のノズルで加熱されて溶け、層ごとに積み重ねることで造形されます。
PLA(ポリ乳酸)
それなりの強度があり、安価で初心者でも扱いやすい。とりあえず何か出力したい・プロトタイプを作りたいとき向け。
長所:
- 生分解性素材で、環境に優しいとされる。
- 低温で印刷可能で初心者向け。
- 臭いが弱く、家庭内での使用にも適している。
短所:
- 耐熱性が低く、車内や高温環境には不向き。
- 柔軟性がなく、衝撃に弱い。
適した用途:
- プロトタイプ、人形、デコレーションアイテムなど。
コスト | 比較的安価 |
特性 | やや硬め。生分解性があり環境に優しいとされる |
強度 | 中程度の強度で、剛性が高い |
印刷温度 | 180-220℃ |
欠点 | 高温に弱く、長期間の耐久性に劣る |
TPU(熱可塑性ポリウレタン)
やわらかめ。靴底、スマホケースなど向け。
長所:
- 柔軟性と弾力性、衝撃吸収性。
- 耐油性・耐薬品性を持つものもある。
短所:
- 印刷スピードが遅い。
- ノズルの詰まりが起きやすい。
適した用途:
- スマホケース、パッキン、靴底、柔軟な部品。
コスト | やや高価 |
特性 | 柔軟で伸縮性がある |
強度 | 強くて耐摩耗性が高い |
印刷温度 | 220-250℃ |
欠点 | 印刷が難しく、特定のプリンターや専門の経験が必要な場合がある |
ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)
耐久性が強い。機械部品など向け。
長所:
- 強度と耐熱性。
- 表面加工がしやすい。
短所:
- 印刷時に臭いが発生する。
- 反りやすいので、加熱式のベッドが必要。
適した用途:
- 工業用パーツ、電化製品ケース、車用部品。
コスト | やや高価だがPLAほどではない |
特性 | PLAよりはやわらかめ。加工しやすい。耐衝撃性、耐久性、耐熱性がある |
強度 | 強い |
印刷温度 | 210-250℃。ヒートベッドが必要な場合がある |
欠点 | 臭いがきつく、換気が必要。印刷が難しい場合がある |
ABSは冷却時に収縮する性質があるため、ヒートベッドが特に必要とされる。(ヒートベッドはプリント物の底部を一定の温度に保つ機能や部品のこと)
PETG(ポリエチレンテレフタラートグリコール)
強度が高く、紫外線耐性がある。食品容器、屋外用部品、機械部品など向け。
長所:
- 強度と柔軟性のバランスが良い。
- 耐熱性が他のフィラメントより比較的高い。
- 湿気に強く、屋外用途にも適している。
短所:
- ベッドへの密着性が強すぎる場合があり、印刷設定が難しい。
適した用途:
- 屋外用部品など。
コスト | やや高価だがPLAほどではない |
特性 | PLAとABSの中間的な特性。柔軟性、耐候性と化学耐性を併せ持つ |
強度 | 高い |
印刷温度 | 220-250℃ |
欠点 | PLAよりもベッド表面に強く付着することがあり、印刷難易度が高い |