はじめに:静寂な走りの陰に潜む、想定外の落とし穴
深夜の住宅街を走る時の静寂さや、ガソリンスタンドに立ち寄らない生活の快適さ。EVの魅力を体感した人なら、この感覚がよくわかるはずです。
ただ、購入を検討している人は「実際のところ、どんな後悔があるのか知りたい」というのが本音でそう。確かに、どんな車でも完璧ではありません。リーフも例外ではなく、購入後に「思っていたのと違った」と感じる場面があるのが現実です。
今回は、実際のオーナーの声や公開されているデータをもとに、リーフ購入で後悔しやすい5つの場面と、それを避けるための具体的な方法をまとめてみました。

1. バッテリー劣化の現実と交換費用の重さ
「購入からしばらく経って、なんだか航続距離が短くなった気がする」という声はよく聞きます。リーフのバッテリーは確実に劣化していくものですが、その速度や交換費用について、購入前に十分理解していない人が意外と多いのです。
最新の情報によると、バッテリー交換費用は新品で約70万円から90万円程度が目安とされています。再生バッテリーという選択肢もあり、30万円から50万円程度で対応できる場合もありますが、それでも決して安い金額ではありません。
日産では8年間または16万kmのバッテリー容量保証が提供されており、セグメント数が8以下になった場合の対応が定められています。
回避するためのポイント
- 購入前の状態確認 中古車の場合は特に、バッテリーの健康状態を詳しくチェック。販売店に相談して確認。
- 保証内容の把握 容量保証の条件を正確に理解しておく
- 使い方の工夫 劣化を遅らせる使い方を心がける
2. 冬場の航続距離低下にびっくり
EV使用者の「夏は280km走れたのに、冬は200kmがやっと」という体験談をSNSなどで見かけたことはありませんか。気温が下がると、EVの実航続距離は短くなります。
一般的に言って、EVは冬の平均電費がおよそ1割落ちるという報告もあり、極端な寒さでは航続距離が約25%から30%低下するという実測データもあります。
日産のオーナーQ&Aでも、季節による航続距離の変化について言及されており、暖房使用やバッテリー温度の影響で電費が悪化することが説明されています。
エアコンの消費電力も無視できません。車を暖めるだけで10%走行距離が落ちるという報告もあり、特に冬場の電費悪化は考慮に入れる必要があります。「思っていたより走れない」と感じるオーナーが多いのも納得です。
回避するためのポイント
- 冬の使い方を事前に想定 出発時の充電量を夏場より高めに設定
- 効率の良い暖房使用 エアコン暖房への依存を減らす
- 余裕のある計画 冬場の遠出では、夏場の7割程度の航続距離で計画を立てる

3. 急速充電の料金体系が思った以上に複雑
「充電カードの月額料金は把握していたけど、従量課金の仕組みがよくわからなくて戸惑った」という声も増えています。急速充電インフラは拡充されていますが、料金体系が複雑化している面もあります。
日産のZESP3というサービスもありますが、それもいくつかの料金体系に分かれています。
ZESP3の正しい料金体系(2025年9月時点)
プラン | 月額基本料金 | 急速充電無料分 | 急速充電超過料金 |
---|---|---|---|
シンプル | 1,100円 | なし | 99円/分 |
プレミアム100 | 4,400円 | 100分 | 44円/分 |
プレミアム200 | 6,600円 | 200分 | 38.5円/分 |
プレミアム400 | 11,000円 | 400分 | 33円/分 |
従量課金制の充電スポットも増えており、1kWhあたり60円から80円程度の料金設定が一般的です。道の駅などでは会員登録不要でクレジットカード決済できる設備も増えていますが、場所によって料金が異なるのが現状です。
回避するためのポイント
- 利用頻度の把握 月に何回程度急速充電を使うかを予測し、定額プランと都度払いを比較
- 充電スポットの事前調査 よく使うルートの充電スポットの料金体系と設備状況を確認
- 複数の支払い手段を準備 充電カードとクレジットカード、両方を用意しておく

4. リセールバリューの厳しい現実
「3年で乗り換える予定だったのに、下取り価格を見てがっかりした」こんな経験をした人も少なくありません。EVのリセールバリューは、ガソリン車と比較して厳しい傾向があります。
2024年の実績データによると、リーフの残価率は1-3年落ちでも他車種に比べて低く、6-8年落ちでは約22%、9年落ち以上では約2~3%となっており、年式が進むにつれて大きく下がる傾向が見られます。
1年落ち2024年式でも買取相場は約170~210万円程度で、新車価格に対して約50%程度の残価率となっています。
その背景には、バッテリー劣化への懸念や、新型モデルの登場による旧型の相対的な価値低下があります。地域によっても需要は異なり、充電インフラが整っていない地域では需要が限定的になる傾向もあります。
回避するためのポイント
- 保有期間の明確化 短期保有か、長期保有かを明確にして、総コストを計算する
- 人気色・グレードの選択 人気の色、人気の純正オプションを検討する
- 定期的なメンテナンス バッテリー状態の維持や外装の管理を怠らない

5. 車両保険料の予想外の高さ
「任意保険の見積もりを取ったら、前の車より高くなって驚いた」という声も聞かれます。EVの保険料が高くなる要因として、車両価格の高さとバッテリー損傷時の修理費用の高額さが挙げられます。
海外の事例では、EVの保険料がガソリン車より72%高くなったという報告もあります。これは、バッテリー交換費用が車両価値に比して高額なことが大きな要因とされています。
日本でも、駆動用バッテリーが損傷した場合の修理・交換費用は数十万円から100万円を超える場合があり、専用部品の交換費用も高額になりがちです。
修理費用の高さは保険金請求額の増加につながり、修理期間の長さや専門技術を要する修理工場の限定性も保険料上昇の要因となっています。
ただし、エンジンオイル交換が不要になるなど、維持費全体で見る必要があります。
回避するためのポイント
- 複数社での見積もり比較 EV専用プランを提供する保険会社もあるため、幅広く検討
- 免責金額の調整 バッテリー損傷リスクを考慮し、適切な免責設定を検討
- 安全装備の活用 先進安全装備による割引制度を適用できないかチェック

さいごに
これらの5つの場面を踏まえ、リーフ購入前に確認しておきたいポイントをまとめました。完全に後悔をなくすことは難しいかもしれませんが、事前の準備で多くの問題にはある程度対応できるかもしれません。
大切なのは、EVという新しい技術に対する理解と、自分の使い方との適合性を冷静に判断することです。リーフには確かに魅力がありますが、それと同時に制約や課題も存在します。
購入を検討している人は、実際に長期間試乗してみたり、既存オーナーの生の声を聞いてみたりすることをおすすめします。机上の計算だけでなく、実体験に基づいた判断が大切です。
この記事は執筆時点で得られた情報に基づいています。内容は正確性に配慮していますが、正確性を保証するものではありません。実際の最新の情報は別途ご自身でご確認の上、ご自身の責任でご判断ください。本サイトによるいかなる結果も、本サイトは責任を負いません。