EV買って失敗した理由|後悔する前に知るべき5つの落とし穴と対策

電気自動車の購入で失敗する人の共通点|あなたは大丈夫?

EVを購入して後悔する人の多くが、購入前の情報収集で見落としがちなポイントがあります。私がEV業界を取材してきた経験から言えば、失敗の多くは「情報の非対称」から生まれているのです。

まず押さえておきたいのは維持費の現実です。EVの年間維持費は、自宅充電中心で年1万km走る想定なら約15万〜20万円のレンジで試算されることが多いとされています。EV DAYS しかし、この試算には普通乗用車・車両価格約400万円・年間走行距離1万kmなどの前提条件があります。

取材で見てきた失敗事例の中でも特に多いのが、家充電の可否を曖昧にしたまま契約してしまうケースです。実際に家充電ができるかどうかで、電気代が月5千円以上変わることも珍しくありません。この差を見落とすと、日々の満足度が大きく下がってしまいます。

充電インフラの現実|数は増えているのに混雑する理由

充電スポットは確実に増加しています。2024年4月から2025年3月の1年間で、国内のEV充電スタンドは約4,500拠点増加したという集計があります。GoGoEV

しかし、量的な拡充だけでは解決しない問題があります。平均稼働率が20%を超えると慢性的に充電渋滞が発生しやすいという指摘が、公的資料や事業者資料で繰り返し示されているのです。内閣府会議資料

特に問題となるのが、大都市近郊の高速道路SA/PAです。週末になると利用率が大幅に上昇し、PAの充電器使用率は10%前後が目立つ一方で、SAは20%以上が過半を占めるという調査結果もあります。日本経済新聞

足柄SA上りなどでは休日の使用率が特に高くなる傾向があります。Google Maps ロングドライブを計画する際は、混雑時間帯を避ける、代替のPAを地図上で確保しておくといった対策が重要になります。

EV購入の落とし穴を表現したアイキャッチ画像

冬の航続距離低下|約3割減という衝撃のデータ

EVの航続距離が冬に低下するのは事実です。米リカレント社が1万台・18車種の実走行データを分析した結果では、冬の実走航続は通常の約70.3%、つまり約3割低下という平均的な傾向が示されています。LowCarb.style

興味深いのは、同じ冬でも条件によって結果が大きく変わることです。関東の穏やかな条件で行った長距離実走検証では、夏と冬の電費差がごく小さかったという結果も報告されています。日産アリアB9による高速120km/h区間での検証では、4.6km/kWhと4.5km/kWhでほぼ差がなかったのです。EV DAYS

この違いは、気温・暖房の使い方・タイヤ・走行速度などの条件が複合的に影響するためです。真冬の寒冷地や短距離での市街地走行では落ち幅が大きくなりやすく、温暖で定速の長距離走行では差が小さく感じられる傾向があります。

維持費・保険料の見落としポイント|型式別料率クラスの罠

EVの維持費は走行コスト(電気代とメンテナンス)、税金、保険の3要素で整理すると理解しやすくなります。よく誤解されるのが任意保険についてです。

「EVだから特別に高い」という区分は存在しません。保険料は型式別料率クラス(事故実績・修理費などに基づく)で決まるという仕組みになっています。EV DAYS ただし、車両価格や修理費の影響で、EVの一部は高めのクラスに区分される傾向があるのも事実です。

修理費については、バッテリーや先進ボディの補修で金額や工期が延びるケースがあります。トータルのダウンタイムや代車コストも体感の満足度に響く可能性があるため、購入時には近隣の修理拠点のキャパや代車事情も確認しておくことをおすすめします。

中古価値の急落リスク|市場の現実を知る

中古EVの再販価値は想像以上に厳しい現実があります。2024年のEV販売台数は102,868台となり、前年の140,678台と比較して26.9%の減少となりました。EVsmartブログ

軽EVの人気モデルでも中古相場が下落傾向にあり、日産サクラなども例外ではありません。WebCarTop 市場全体の流通量増加や新型投入のタイミング、補助金動向の変化で相場が動きやすい特性があります。

米国では2024年2月以降、中古EVの平均価格がガソリン車を下回るという歴史的な現象も発生しています。同年5月時点で、その価格差は約2,657ドル(約42万円)にも達しました。EV普及促進サイト

実体験から見る3つの判断ミス|同じ失敗を避けるために

自宅充電の算段が甘かった事例

マンションでコンセント利用の可否が曖昧なまま契約し、結局公共急速充電頼みになってストレスが増大したという声は決して少なくありません。オーナーの実体験をまとめたレビューでも、日々の充電計画が生活リズムと馴染むかが満足度を大きく左右すると語られています。note(オーナー体験)

長距離移動の計画が楽観的すぎた

週末の幹線道路やSA集中で待ち時間が増え、行程全体が後ろ倒しになるケースも頻発しています。前述の通り、平均稼働率20%超は混雑のシグナルとされているため、代替ルートと予備の充電地点を地図に入れておくことが重要です。

冬の体感差を想像できていなかった

凍える朝にヒーターを強めて短距離の送り迎えを繰り返すと、航続距離の落ち幅が体感で想像以上に大きく感じられることがあります。データ上は平均約3割低下とされていますが、使用条件によってはそれ以上に感じられる場合もあります。

失敗を避ける3つのチェックポイント|購入前の最終確認

充電動線が現実的に描けるか
自宅・職場・よく行く施設の三角形で、日常をカバーできるかを地図で具体的に確認してください。週末のロングドライブでは、SA/PAの代替候補もリスト化しておくと心理的な余裕が生まれます。

冬季の実際の使用条件で試乗する
朝夕の外気温・渋滞・暖房の強さを想定した条件で試乗すると、体感ギャップを小さくできます。理想的な条件での試乗だけでは、実際の使用時に期待と現実の差に驚くかもしれません。

維持費試算を自分仕様に置き換える
年間走行距離・電気単価・保険の見積前提(年齢・等級・車両保険の有無)を実際の数値に入力し直して、一般的なレンジ感ではなく自分専用の数字で判断材料にしてください。EV DAYS

まとめ|後悔しないEV選びの最終チェック

EVを購入して後悔しないためには、華やかな最新技術や環境性能だけでなく、日常生活での現実的な使い勝手を冷静に評価することが大切です。

最後に3つの質問を自分に投げかけてみてください。平日の充電動線がストレスなく確保できるか、真冬の朝夕の使い方で想定外の航続距離低下に対応できるか、維持費試算の前提条件を自分の状況に合わせて再計算できているか。

インフラは着実に増強されている一方で、場所と時間による利用格差は当面残る可能性があります。価格や補助制度は変動が激しいため、最終契約前には販売店や自治体サイトで最新情報を確認することをおすすめします。

この記事は執筆時点で得られた情報に基づいています。内容は正確性に配慮していますが、正確性を保証するものではありません。実際の最新の情報は別途ご自身でご確認ください。

投稿者 koki