高速道路のEV充電、連休時の現実は想像以上に厳しい
最近、高速道路のサービスエリアでEV充電の待ち時間が激増していることを、あなたは知っていますか?特にゴールデンウィークやお盆の連休時は、まるで「充電地獄」と呼ばれるような状況が各地で発生しています。
日産サクラや三菱eKクロスEVなどの軽EVが2022年にヒットした影響で、これまでにない数の電気自動車が高速道路を利用するようになりました。しかし、充電インフラの整備が追いついていないのが現状です。
実際に、あるユーザーは「お盆のSAの充電スタンドで3台並んでいて、待ち時間も入れたら1時間半もかかった」と体験談を語っています。また、SNSでは「EV普及したら充電施設が足りなくなって、GWとか充電するのに3時間待ちとか当たり前になりそう」という声も見られます。
この記事では、そんな混雑状況を少しでも回避するための具体的な対策と、実際のデータに基づいた混雑予測をお伝えします。
実際の混雑状況はどれほど深刻なのか
日本充電サービス(NCS)が発表した2019年のお盆期間(8月10日~18日)の実績データを見ると、充電渋滞の深刻さが一目瞭然です。東名高速道路や新東名高速道路の多くのサービスエリアで「充電渋滞が多く発生した」ことが記録されています。
特に注目すべきは、2基の充電器が設置されている足柄SA下り線でさえ、充電器が満員で充電を諦めざるを得ない状況が発生していることです。これは、現在の充電インフラでは連休時の需要に対応しきれていないことを示しています。
参考:https://blog.evsmart.net/charging-infrastructure/quick-charger/congestion
NEXCO西日本の統計によると、管内の急速充電器利用回数は毎年10~20%ずつ着実に増加していますが、EVユーザーの実感としては「高速道路SAPAの急速充電器がまったく足りない」状況が続いています。
充電渋滞の定義について、業界関係者の資料によると「前車の充電終了後、5分以内に次の車が充電を始めた場合」を充電渋滞としているとのことです。この基準で見ても、混雑は確実に深刻化しているのが現状です。
混雑しがちな時間帯と場所の傾向
蓮田サービスエリア下り線では、土日のピーク時間帯は6口に増設したばかりにもかかわらず満車状態になっています。これは、単に充電器を増やすだけでは根本的な解決にはならないことを示しています。
混雑しやすい時間帯は以下のような傾向があります:
- 朝の時間帯(9時~11時):出発ラッシュで多くの人が長距離移動を開始
- 昼食時間帯(12時~14時):食事と合わせて充電を行う人が集中
- 夕方(16時~18時):帰路での充電需要が高まる
また、混雑しやすい場所についても明確な傾向があります。東名高速道路では、海老名SA、足柄SA、駿河湾沼津SA、浜松SAなどの主要サービスエリアで特に混雑が激しくなります。
私が実際に取材した複数のEVユーザーからは、「平日の昼間なら1~2割程度の利用率でガラガラなのに、週末になると途端に満車になる」という声が聞かれました。これは、平日と休日の需要格差が非常に大きいことを物語っています。
参考:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会 第2回 局地的電力需要増加と送配電ネットワークに関する研究会 資料6
連休時の充電待ち実例レポート
日曜の夜、東名高速道路を清水ICから東京へ向かう途中、新御殿場IC料金所手前で完全に電欠。ロードサービスのお世話になってしまいました。
引用:https://blog.evsmart.net/nissan/leaf/2022-out-of-electricity-causes-and-precautions-yori/
このような状況は、EVユーザーにとって非常にストレスフルなものです。特に家族連れでの長距離移動の場合、子供たちの体調管理や食事のタイミングなど、様々な制約がある中で予定外の待ち時間は大きな負担となります。
一方で、「混雑を予想して、朝早くに出発したら、充電スポットは空いていて快適だった」というポジティブな例もあります。
充電渋滞を回避する具体的な裏技
時間帯をずらす戦略
最も効果的なのは、混雑する時間帯を避けることです。
早朝出発(6時~8時)、深夜移動(22時以降)、平日利用 が良いかもしれません。
「ちょい足し充電」の活用
EVの充電は「必要な分だけ充電する」という考え方も重要です。30分ギリギリまで粘らず、10~15分程度の短時間充電を複数回行うこともできます。
これは、充電速度がバッテリー充電率に依存するためです。充電率が低い状態では速く充電できますが、90%を超えると充電速度が大幅に低下します。短時間でこまめに充電する方法もひとつです。
最新の予約システムとアプリ活用法
2025年現在、EV充電の予約システムも徐々に整備されてきています。特に注目すべきアプリをいくつかご紹介します。
Myプラゴ
予約機能が特徴で、充電ステーションの検索・予約から決済をアプリで行えます。空車通知機能もあり、充電器が空いたタイミングで通知を受け取れます。
EVナビ
2024年にリリースされたアプリで、急速充電器と普通充電器をワンタップで切り替えられる機能が便利です。充電出力、プラグタイプ、課金方法などを色分けして表示し、一目で確認できます。
e-Mobility Power アプリ
約2万口の充電スポットの満空情報をほぼリアルタイムで確認できます。アイコンの色で利用状況が一目で分かり、現地に行ってから充電できないという事態を回避できます。
おすすめ充電ルートの提案
実際の混雑データと経験豊富なEVユーザーの知見を基に、連休時におすすめの充電ルートを考えてみましょう。
東京→大阪ルート
推奨ルート:東名高速道路経由
充電プラン:
① 海老名SA(出発前の最終確認)
② 駿河湾沼津SA(メイン充電)
③ 浜松SA(継ぎ足し充電)
このルートの場合、駿河湾沼津SAでしっかりと充電し、浜松SAでは10~15分程度の短時間充電に留めることがポイントです。
東京→東北ルート
注意点:東北道は複数基設置のSA・PAが少ないため、事前の十分な充電が必須です。
THE EV TIMESの調査によると、東北道は最も渋滞が予測される区間が多いにも関わらず、充電インフラが不足している状況です。このルートを利用する場合は、余裕のある日程での移動を強く推奨します。
混雑予測データと対策まとめ
最後に、これまでの情報を整理して、実践的な対策をまとめます。
混雑予測(危険度レベル)
レベル5(最高危険):GW・お盆の土日、12時~14時
レベル4(高危険):連休中の平日、朝9時~11時
レベル3(中危険):通常の土日、夕方16時~18時
レベル2(低危険):平日の昼間
レベル1(ほぼ安全):早朝・深夜の時間帯
実践的な対策チェックリスト
- □ 充電予約アプリを事前にダウンロード・設定
- □ 複数の充電ルートを事前に検討
- □ 出発時間を1~2時間早める
- □ 「ちょい足し充電」を意識した走行プラン
- □ 万が一の電欠に備えてロードサービスの連絡先を確認
これらの対策を実践することで、連休時の充電渋滞を大幅に回避できるはずです。EVでの長距離移動は、適切な準備と情報収集によって、ガソリン車以上に快適なドライブを楽しめることを、私自身の経験からも実感しています。
今後、EVの普及とともに充電インフラの整備も進むことが予想されますが、当面は混雑を前提とした移動計画を立てることが、ストレスフリーなEVライフの鍵となるでしょう。
注意事項:この記事は執筆時点で得られた情報に基づいています。内容は正確性に配慮していますが、正確性を保証するものではありません。実際の最新の情報は別途ご自身でご確認ください。